海綿動物とスポンジ
2013.11.30 カテゴリー:生きものダイアリー
今では家庭の台所に必ずあると言ってもいいものに,食器を洗うスポンジがあります。
このスポンジはよく見ると,小さな孔が無数に開いています。
開いていると言うよりも,開けてあります。
また,このスポンジは弾力があり,力を加えると縮みますが,離すと元の形に戻ります。
このスポンジは,何をヒントに作られたのでしょうか。
じつは,海の中の海綿動物(英語でsponge スポンジと発音します)を手本に作られました。
海綿動物は海の中の岩などに群体を作って付着しています。
このような海綿動物を加工して(小さな骨に当たるものがあるので,それを除去して),
天然海綿(または天然スポンジ)を作ります。
地中海で取れるものは有名で,地中海産天然スポンジとして売られています。
海綿動物そのものと違って,表面もサラサラとソフトなタッチです。
筆者の学生時代に,講座のK先生は,潜水を得意としていましたが,
この先生は海中の海綿動物を採集してきて,研究室ではそれで食器を洗っていました。
下が食器洗い用スポンジ、その上にあるのが本物の海綿です
皆さんの家庭にある石油からできているスポンジは,天然の海綿動物に
かなわない点が一つあります。
開いている孔の大きさと数です。
左側の孔の小さな方が本物の海綿,右側の孔の大きなほうがスポンジ
写真にみるように海綿動物の孔はすこぶる小さな孔です。 この大きさ,いや,この小ささの
孔を開けることが難しかったのか, そこまでの必要がなかったのかは分かりません。
海綿動物は壺の型をしており,下端で他物に着生し,上端に大きな孔が,
体壁に無数の小孔があります。
海綿動物は,プランクトンやその死骸の一部などのデトライタスを食べて生きています。
館長